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2020年4月 5日 (日)

第97回 「下川町環境共生型モデル住宅 美桑」からはじまるー北海道らしい暮らしの提案

8月30日 (金)

 201908sala

 

自然と共生する空間

 

第97回のレクチャーは、櫻井百子(建築家)にお願いした。

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タイトルは、「下川町環境共生型モデル住宅美桑からはじまる北海道らしい暮らしの提案」だった。少し長いタイトルとなったが、それまで彼女がとり進めている共生型の空間づくり、その方向を示しているようだ。

櫻井は、一時平尾事務所に入所後、アトリエ「momo」を設立して現在に至っている。この「momo」には、自分の名前の他に、小説家ミヒャエル・エンデの作品に登場する<モモ>にも拠っているという。<モモ>のように、大きな夢をみていこうという意をこめたようだ。

今回のレクチャーのメモで、櫻井はこんな言葉を残している。<建築家、建築士、設計者であるまえに生活者でありたい>と。

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この<生活者でありたい>は、櫻井が一番大切にしていることのようだ。そのために、つねにクライアントの気持ちにより添うことを大事にしているという。また空間をつくるときも、可能な限り、北海道(地元)の樹の素材を使うようにしているという。

彼女は、3つの言葉でそれをいいあらわしていた。<育む><繋ぐ><より添う>と。なかなか素敵なコンセプトだ。

 

下川町は、環境省が進める「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」に参加した。全国20団体のうちの1つとして選定された。さらに設計者選定公募型プロポーザルを経て、設計・建設されたのが櫻井のプランニングだった。

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では櫻井のプランニングとはどんなものであろうか。良く知られているようにこの町は、夏は暑く、冬は寒いところでもある。とても小さな町だが、なにより豊富な山林を活用しながら、個性的な街づくりをしている。

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下川町環境共生型モデル住宅では、地元の素材を使った。場の環境になじむことを目指した。それは環境庁が進める指向と一致するものだった。写真で、その空間を紹介してくれた。それは森の中に、静かにあった。一棟貸にもなっていて、12人位が泊まれるという。たしかに共生を意識した、みんなが憩う場をそこにはあった。近くには、人気の五味温泉もあるという。

特に驚いたのは、二酸化炭素の排出量をしっかりと抑えていたこと。そのために床にカラ松の木炭を敷きしめた。それにより空気の浄化ができるという。

私たちは、よく共生という言葉を使っているが、それを実際に実現することは難しいことだ。建築で、それを行うこと。さらに難しいことにちがいない。こうした自然のエネルギーを活用すること。それが<循環型の思考>ということなのであろう。

そう考えてみると櫻井の指向は、これからの建築の在り方、その1つの方向をはっきりと示しているにちがいない。

(文責・柴橋伴夫)

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