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2014年10月

2014年10月10日 (金)

第44回「パウル・ツェランの詩世界〈死のフーガ〉を巡って」

2014年10月 9日 (木)

第42回「美術記者 ひと語りもの語り」

「美術記者 ひと語りもの語り」  -開催日2014年4月25日(金)-
■講師
大野 日出明(新聞記者)
1973年函館生まれ。筑波大学芸術専門学群で、東洋仏教彫刻史を専攻した。1997年に卒業後、番組制作会社などを経て、1999年に北海道新聞社に記者職で入社。2009年から2013年、編集文化部に所属。その間、美術を約2年間担当し、「シャガール展」(2013年、道立近代美術館)などを取材した。現在、編集局編集部で紙面レイアウトを担当している。
■会場 ト・オン・カフェ  札幌市中央区南9条西3丁目2-1マジソンハイツ1F
「美術記者 ひと語りもの語り」 
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はじめて現役の新聞記者にレクチャーをお願いした。函館生まれの大野日出明(北海道新聞)は、筑波大学で東洋仏教彫刻史を研究してきた。卒業後は、一時民間の企業(番組制作関係)に勤務し、その後1999年より北海道新聞(以下、道新)に入社し、文化部で主として美術を担当していた。レクチャー・タイトルは「美術取材 ひと語り もの語り」。120分のロングレクチャーとなった。私には、美術記者のイメージが強かったが、プロ将士とコンピューター将棋ソフトによる電王戦なども取材している。人間の脳と電子脳との対決。現代的で、なかなか面白かったという。
さて大野は、どんなことを考えて取材しているのであろうか。大野が書いた美術記事などを読んでいると、いつも現場主義を貫きながら作家に丁寧にインタビュ―を行っていた、との印象が強い。では新聞記者としての最も大切な使命とはなんだろうか。私は「つくり手」(作家)と「読み手」(読者)を「つなぐ」ことであると考えている。私は大野が語る言葉のはしはしから、「つくり手」の想い(意図)をできるかぎり正しく伝えようとしていると感じた。「おごらず、高ぶらずに、つくり手のメッセージを伝えること」、これが大野の「取材モラル」のようだ。また現在の新しい紙面構成についても、他紙なども見せながら紹介してくれた。
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どの社も競いながら文字中心の記事づくりとは違う、新基軸を探求しているという。1ページ全面や数ページを使った数字データや絵図などを取り込んだ「構成記事」が増えているという。私からみて、それはどこか啓蒙的、百科辞典的、教科書的にみえた。いずれにしても、それは脱文字社会、視覚重視の社会状況を反映しているのかもしれない。
さて美術担当時代に体験した幾つかの思い出を語ってくれた。特に「作家のアトリエ訪問」がとても興味深かった。いうまでもなく「作家のアトリエ」とは、発熱する現場である。だからとても価値がある。
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その中でも故人となった画家谷口一芳のアトリエで撮影した写真はとても貴重なものとなっていた。さらに今年91歳を迎える書家中野北溟のアトリエでは、大野は彼の入魂の制作シーンを捉えていた。筆を握り、腰を曲げ顔を紙に近づけながら挑む姿は、あの棟方志功のそれに近いものがあった。
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最後にシャガール展に関する現地取材を紹介してくれた。ただこの部分は時間が足りなくなっていた。大野は数度に渡り記事を書いている。パリや南仏ヴァンスやサンポール・ヴァンス、さらにエルサレムなどを訪れている。大野は「シャガール 光を求めて」という記事で、生前のシャガールの言葉を紹介している。「私は<ファンタジー>とか<象徴性>といった用語が好きではない。そして大野は、続けてこう「詩的創造にあふれた絵画芸術は、地に足の付いた現実に基づいてこそ生まれた」と記している。まさに大野もまた、地に足の付いた現実に基づいて記事を書いているのだ。
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現在、大野は文化部から編集局に異動している。「場」は変わったが、個人的にはこれまでの美術記者の経験を活かし、道内美術の活性化のために、いろいろとアドバイスをしてほしいと願っている。
(文責・柴橋伴夫)

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